【人と人との繋がりがクマの命を救った。】
「奥山の復元=人と人との復元」
□1回目 7月15日捕獲・7月16日放獣
捕獲されたのが天上山(三ツ峠山の南麓)で、放獣は清八林道(三つ峠山の北稜)。
※放獣は山梨県環境科学研究所 吉田研究員。
■クマ捕獲放獣の2日間の様子
7月27日 午後3時頃 赤坂交差点 東側付近
午後3時20分頃 イッツモア赤坂 東側ゴミ置場
午後4時30分頃 ふじやま温泉付近
午後4時45分頃 ハイランドリゾートチャペル横 木に登る
午後6時30分頃 木から下り30メートル横の木に移り登る
7月28日 午前4時45分頃 吹き矢による麻酔1回目
午前5時頃 吹き矢による麻酔2回目
午前5時5分頃 眠った所を木の上で捕獲
午前9時50分頃 エアーガン、爆竹、とうがらしスプレーでのお仕置き
午前10時頃 富士山吉田口3合目付近にて放獣
27日の午後にクマが富士急ハイランドに入り込む騒動が起こるとは知らず、直前の午前中、山梨県支部ではこんな行動をしていました。
◆9時~11時 山梨県環境科学研究所 吉田研究員 訪問
◆11時半 富士吉田市役所農林課 訪問 課長と宮下さん
◆13時 富士河口湖役場農林課 訪問 三浦課長補佐
◆13時半~14時半 クマの目撃情報があった鐘突堂周辺を探索
◆山梨県環境科学研究所の吉田研究員と面談。
7月16日の放獣の詳細、発信器の装着の必要性、山梨県のクマの生息状況、クマ保護についてのお考え、今後の捕獲放獣を教えて頂き、お手伝いの申し出等についてお聴きしました。
吉田研究員の考えは・・・
・クマを殺してはいけない。
・保護して奥山に放獣していかなければいけない。
・クマは“餌”を求めて人里に降りてくるので、人間がクマを誘き寄せないように里山や、民家付近が餌場にならないように気を付けて行かなければならない。
・またクマ生活出来る生息場所(放獣場所)がなかなかないのが問題。
・クマを捕獲獣するのに人手や費用がかかるので、そのための援助が必要。
・クマが万が一絶滅した時、予想以上の何かが起きてしまう危険性がある。
吉田研究員はこちらにいらしてから7年になるそうですが、地元の皆さんや行政との信頼関係をコツコツ築き、やっとここまでの状況になって来たそうです。
吉田さんとは、「目的が同じなので、今後はお互いに協力していきましょう。」と、
とても有意義な時間が持てました。
また、吉田研究員から
「24日子ども達がスポーツをしている側の河原で、発信器を付けたクマが1時間程水遊びをしていたのを目撃されたそうです。」との情報を得ました。
岡(笛吹市)、清水(北杜市)、山本(河口湖町)、後藤夫妻(富士吉田市)、
坂名井(甲府市) ~6名~
※後藤さん夫妻は5月上旬、副支部長の藤掛さんが「熊森ツアー/根室・知床3000年北方針葉樹林とヒグマを見る旅」に行かれヒグマを観ている時、熊森ツアーとは関係なく、ご夫婦でご旅行にいらしていて、その現場を通りすがり「何を観てるんですか?」という、偶然の出会いがキッカケで熊森会員になられました。
北海道で、山梨県の人同士が会うなんて、クマの神様が出会わせて下さったのでしょうか。
今考えると、このクマ騒動を予期していたかのような出会いでした。
後藤さんは、山梨県支部のマスコットにしたいような、可愛らしいクマさんに似ている方ですし頼もしいです。また、奥様も笑顔の素敵なお優しい方です。
◆富士吉田市役所農林課
最近のクマの目撃情報をお聴きしました。
山間部付近での、クマの目撃情報は余り問題にしておらず、民家付近であった場合の時は捕獲放獣をお願いし、その際は吉田研究員にご相談して頂けるのを確認しました。
岡、山本、坂名井、後藤さんご夫妻~5名~
◆富士河口湖農林課
富士吉田市役所と同じ内容のお話しをしました。
また、それに加えて、吉田研究員の言われたのは、始めに目撃された時の場所には、クマが餌となるものを食べに来ているようなので、排除する必要があるとお伝えし、わたし達に出来ることがあれば協力したい旨を申し出ました。
この時、三浦さんから
「今日11時30分頃目撃情報が入り、山のほうに逃げて行った。発信器を付けていた。」とお話がありました。
岡、山本、坂名井~3名~
◆クマの目撃情報があった鐘突堂周辺と餌場付近を探索
吉田研究員や河口湖役場の三浦さんから伺った鐘突堂や、餌場になりそうな場所付近を探索しましたが、手掛かりは無く、朝からの行動でしたので、ここで解散にしました。
岡、山本、坂名井~3名~
■17時過ぎ 後藤さんご夫妻富士急に駆け付け、吉田先生、富士吉田市役所の皆さんに挨拶。その後ずっと見守り、写真撮影もされる。
■19時過ぎ、現場に岡到着、21時過ぎ在原さん到着。
■21時半 吉田研究員から捕獲放獣を発表。
・吹き矢を使って麻酔を掛け捕獲し、奥山に放獣。
・夜間は危険なので、明るくなってから4時半に実施。
吉田さんとお話ししました。
「こんなケースは初めてなので、明日の捕獲は正直不安で緊張します。」と言うので
「クマを救いたいという吉田さんなら大丈夫です。」と励ましました。
■4時半 捕獲作業開始
岡、後藤夫妻、在原さん、坂名井さんの5名が現場にてクマの捕獲放獣を見守り立ち会う。
・身の危険を感じてか、かなり高い所までクマは上り詰め、高所作業車に乗った吉田さんもかなり高いので吉田さんとクマの無事を祈る。
・1回目の麻酔が命中するが、クマは隣の木に移る。
・2回目の麻酔命中。
クマも段々動きが鈍くなるが、下には降りて来ないのか、来れないのか。
このままの高さで落下したら、クマが怪我をしないかとの危険を感じ心配になる。
少し下にずれ落ちたが、枝にうまくかかったまま。
・クマの状態を確認し、吉田さんが高所作業車で近付き、クマを抱きかかえ高所作業車に引き込む。
・高所作業車は静かに地上に降り、クマはドラム缶に無事入れられ捕獲は無事終了。
・吉田さんに、見学かお手伝いを申し出る。
市の許可が得られれば良いというので、市の農林課の宮下さんにお願いして「見学ならいいです」と許可を貰う。
■放獣
富士吉田口三丁目は途中でゲートがあり立ち入り禁止区域なっていました。
針葉樹が多いように見受けられ、クマが生き抜いていくには厳しい所のように感じました。
しかし、この付近にはクマの足跡や糞も見つかり、より良い餌場に移動出来るので、心配ないとのことでした。
クマは昨日の昼間から一睡もしていなかったため、麻酔が良く効き、時折いびきをかいて寝ていて、なかなか目を覚ましませんでした。
途中目を覚ました眠気眼のクマを、ドラム缶越しに懐中電灯で照らして見ると、怖がる様子もなく、円らな瞳で見詰め返され、この後のお仕置きを考えると胸が締め付けられました。
10時近く、クマの意識がハッキリしたのを確認し、エアーガン、爆竹、とうがらしスプレーでのお仕置きをし、放獣されました。
お仕置きをする吉田さん自身も、身を切られる思いだったとお察しします。
クマが二度と捕まらないように。そして、生き延びてくれるようにと祈ることしか出来ませんでした。
尚、発信器はGPS機能が付、遠隔操作も出来る為、11月にはクマの首から外すそうです。
今回は、報道陣、猟友会、警察等40名程の人が集まり、照明塔でクマは照らされ、一時は道路も封鎖され、大騒ぎでした。
ホテル側は人命第一を考え捕殺を、また2回目なので捕殺でしょうと言う声が上がっていて、吉田さんも一時は捕殺も已むをえない、と考えたようですが、吉田さんが、クマを捕獲放獣と決心して下さり本当に良かったです。
午前中、事前にお会いしてジックリお話しが出来て良かったと、胸を撫で下ろしました。
また、熊森会員の地元の後藤さんには、当日初めてお会いしたのですが、人柄が良く、富士吉田市役所の皆さんと顔見知りで、日頃から地域の活動に貢献されているご様子で、「クマを殺さないでね。」と言う声も、地元の人の声だからより通じたのかも知れません。
今回の出来ごとで感じたことは、5月に藤掛さんと後藤さんの出会いが事前にあったことや、クマの騒動の直前に、吉田研究員や、富士吉田市役所や河口湖町役場の農林課の担当者とお会い出来ていたことが、良かったです。
また、それ以前からの、地元の会員さんの加藤さんのクマの目撃情報の連絡や、市役所、役場への訪問してくれた山本さん、在原さん、朝日新聞社の永持さんの記事もありました。
もっと遡ると、知事表敬訪問、みどり自然課の「ツキノワグマをなるべく捕獲放獣するように」との周知徹底の通達。支部結成記念から、ズット記事にしてくれている地元の山梨日日新聞社さんの記者の皆さん。
奥山を早く復元したいとの皮むき間伐を実践してくれている皆さん。そして環境教育への取り組み。
まだまだ、わたしが気付かないだけで、会員の皆さんを始め、多くの協力があって、クマの命が助かったかも知れません。
一安心しましたが、しかし、まだまだこれからです。
旧、中道町の右左口で、クマに桃の被害があり、罠を設置する予定だというニュースも今朝ほど目に止まりました。
始まったばかりですので、皆さん今後もご協力を宜しくお願い致します。
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