2010年7月2日金曜日

6月28日(月) おかしくはないですか? 迷いグマ射殺、盛岡市の明治橋たもと


岩手日報より

 盛岡市の中心市街地にほど近い北上川の明治橋たもとに6月27日、クマが出没し、地元猟友会が駆除した。近郊の山から川伝いに迷い込んだとみられる。

 同日午前4時55分ごろ、同市仙北1丁目の明治橋上流河川敷で釣りに来た男性が発見。盛岡東署に110番通報した。同署は市を通じて盛岡猟友会に出動を要請した。

 同署によると、クマは当初明治橋上流にいたが、逃げるように草地を橋の下流に移動。猟友会員の銃弾3発をかいくぐり、対岸の鉈屋町側に渡った。発見から約6時間が経過した午前11時5分ごろ、河川敷の草むらで、猟友会員13人が取り囲み駆除した。クマは体長約1メートルで体重90キロの成獣だった。

 現場の河川敷は、高い護岸壁があるものの、川のそばまで住宅街が広がる地域。駆除までに散弾銃など10発以上の銃声が響き、住民らが不安そうに見つめた。

 同猟友会の佐藤弘部長(68)は「明治橋にクマが出たのは30年以上駆除をしてきて初めて。街中に入ってこなくて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。


(熊森見解)
 なぜ、麻酔銃で眠らせ、山に返してやる努力をしないのでしょうか

 熊森は射殺対応に納得できず、28日、岩手県庁担当課や盛岡市担当課、マスコミなどに、次々と問い合わせました。
 
 岩手県庁がいきなり駆除許可を出したので、盛岡市は駆除しか考えなかったということですが、
もし自分が、このクマならどう感じるか、人間ならば相手の身になって考えるやさしさが必要です。
これなくして、生物の多様性保全や、クマとの共生など語れません。

 なぜこのクマが、ここに迷い込んだのかわかりませんが、きっと、不安でたまらなかったことでしょう。市街地に出たわけではありません。テレビニュースを見ると、川岸は樹木が繁って森のようになっています。森だと思って歩いていたら、迷ってしまったのでしょう。道に迷った哀れなクマを、みんなで見守って山に返してやることに成功して、みんなで拍手する。熊森は、日本をこんな国にしたいと思います。

 万一、市街地に出た場合のことを考えて、猟友会員を動員するのはわかります。しかし、なんとか山に返してやろうとまず努力すべきだったと思います。今回は、初めから、殺す以外の発想がまったくありませんでした。

 いくつかのマスコミの報道ことばには、憤りを感じました。大捕り物だとか仕留めたとか。まるで、クマを悪者か犯人扱いです。いまだに20世紀の、人間の命しか考えない古い頭のままです。今年は、国際生物多様性年であることをご存知でしょうか。

(岩手県民から熊森へのメール)
 盛岡のツキノワグマ射殺事件は、岩手県の野生動物の保護管理が、ハンターの論理で進められていることをはっきりと示した恥ずかしい出来事です。行政の発想の転換を迫っていかないと、怯えて逃げる動物を、河川敷とはいえ県都盛岡のど真ん中で、大勢で取り囲んで銃で射殺するというような愚行が繰り返されかねません。

ツキノワグマとの共存を広く訴えていくことは急務だと思います。日本熊森協会の一層の奮闘を期待しております。

http://homepage2.nifty.com/kumamori/kyounohitokoto.html

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