2010年9月26日日曜日

セヴァン・スズキ スピーチ~92年リオの環境サミットで12歳の少女が語った伝説のスピーチ~

こんにちは、セヴァン・スズキです。

エコを代表してお話しします。エコというのは、子供環境運動(エンヴァイロンメンタル・チルドレンズ・オーガニゼェーション)の略です。

カナダの12歳から13歳の子どもたちの集まりで、今の世界を変えるためにがんばっています。


あなたがた大人たちにも、ぜひ生き方をかえていただくようお願いするために、自分たちで費用をためて、カナダからブラジルまで1万キロの旅をして来ました。


今日の私の話には、ウラもオモテもありません。

なぜって、私が環境運動をしているのは、私自身の未来のため。

自分の未来を失うことは、選挙で負けたり、株で損したりするのとはわけがちがうんですから。

私がここに立って話をしているのは、未来に生きる子どもたちのためです。

世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。

そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。


太陽のもとにでるのが、私はこわい。

オゾン層に穴があいたから。

呼吸をすることさえこわい。

空気にどんな毒が入っているかもしれないから。


父とよくバンクーバーで釣りをしたものです。

数年前に、体中ガンでおかされた魚に出会うまで。


そして今、動物や植物たちが毎日のように絶滅していくのを、私たちは耳にします。

それらは、もう永遠にもどってはこないんです。

私の世代には、夢があります。

いつか野生の動物たちの群れや、たくさんの鳥や蝶が舞うジャングルを見ることです。

でも、私の子どもたちの世代は、もうそんな夢をもつこともできなくなるのではないか?

あなたがたは、私ぐらいのとしの時に、そんなことを心配したことがありますか。

こんな大変なことが、ものすごいいきおいで起こっているのに、私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。

まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたらいいのかはっきりわかりません。

でも、あなたがた大人にも知ってほしいんです。

あなたがたもよい解決法なんてもっていないっていうことを。

オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう

死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか、あなたは知らないでしょう。

絶滅した動物をどうやって生きかえらせるのか、あなたは知らないでしう。

そして、今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのかあなたは知らないでしょう。

どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。


ここでは、あなたがたは政府とか企業とか団体とかの代表でしょう。

あるいは、報道関係者か政治家かもしれない。

でもほんとうは、あなたがたもだれかの母親であり、父親であり、姉妹であり、兄弟であり、おばであり、おじなんです。

そしてあなたがたのだれもが、だれかの子どもなんです。

私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが同じ大きな家族の一員であることを知っています。


そうです50億以上の人間からなる大家族。

いいえ、実は3千万種類の生物からなる大家族です。

国境や各国の政府がどんなに私たちを分けへだてようとしても、このことは変えようがありません。

私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、ひとつの目標に向けて心をひとつにして行動しなければならないことを知っています。

私は怒っています。

でも、自分を見失ってはいません。

私は恐い。

でも、自分の気持ちを世界中に伝えることを、私は恐れません。


私の国でのむだ使いはたいへんなものです。

買っては捨て、また買っては捨てています。

それでも物を浪費しつづける北の国々は、南の国々と富を分かちあおうとはしません。

物がありあまっているのに、私たちは自分の富を、そのほんの少しでも手ばなすのがこわいんです。

カナダの私たちは十分な食物と水と住まいを持つめぐまれた生活をしています。
時計、自転車、コンピューター、テレビ、私たちの持っているものを数えあげたら何日もかかることでしょう。

2日前ここブラジルで、家のないストリートチルドレンと出会い、私たちはショックを受けました。

ひとりの子どもが私たちにこう言いました。

「ぼくが金持ちだったらなぁ。もしそうなら、家のない子すべてに、食べ物と、着る物と、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに。」

家もなにもないひとりの子どもが、分かちあうことを考えているというのに、すべてを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、いったいどうしてなんでしょう。


これらのめぐまれない子どもたちが、私と同じぐらいの年だということが、私の頭をはなれません。

どこに生れついたかによって、こんなにも人生がちがってしまう。

私がリオの貧民窟に住む子どものひとりだったかもしれないんです。

ソマリアの飢えた子どもだったかも、中東の戦争で犠牲になるか、インドでこじきをしてたかもしれないんです。


もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えばこの地球はすばらしい星になるでしょう。

私はまだ子どもだけどこのことを知っています。

学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、世のなかでどうふるまうかを教えてくれます。

●たとえば、
*争いをしないこと
*他人を尊重すること
*ほかの生き物をむやみに傷つけないこと
*分ちあうこと
*ちらかしたら自分でかたづけること
*話しあいで解決すること
*そして欲張らないこと

ならばなぜ、あなたがたは、私たちにするなということをしているんですか。

親たちはよく
「だいじょうぶ。すべてうまくいくよ」といって子供たちをなぐさめるものです。
あるいは
「できるだけのことはしてるから」とか、
「この世の終わりじゃあるまいし」とか。

しかし大人たちはもうこんななぐさめの言葉さえ使うことができなくなっているようです。

おききしますが、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。


父はいつも私に不言実行、つまり、なにをいうかではなく、なにをするかでその人の値うちが決まる、といいます。

しかしあなたがた大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。


あなたがたはいつも私たちを愛しているといいます。


しかし、私はいわせてもらいたい。

もしそのことばが本当なら、どうか、
本当だということを
“行動”でしめしてください。

最後まで私の話をきいてくださってありがとうございました。



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1992年6月11日

ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連の地球環境サミットで、
12歳の少女が世界各国のリーダーたちを前に6分間のスピーチをしました。

少女の名前は、セヴァン・スズキ。

セヴァンのスピーチが終わった時、大人たちは目にいっぱいの涙をためて彼女に言いました。

「大事なことを思い出させてくれてありがとう。」

ロシアの元大統領ゴルバチョフ、後にアメリカの副大統領になるゴアも、彼女に駆け寄って祝福したといいます。

16年たった今も、語り継がれている、セヴァンのスピーチ…。


●セヴァン・スズキ スピーチをするまでのストーリー

セヴァンは、9歳の頃から「環境問題」に強い関心を持ち、「子ども環境運動クラブ」を作って、友達と一緒に勉強したり、活動したりしていました。

そんなとき、ブラジルで世界のトップリーダーが集まって今後の世界の進み方を決める会議が開かれることを知ります。

「会議の結果によって、大きな影響を受けるのは私たち子ども!子ども代表としてブラジルへ行こう!」

そう思ったセヴァンたちは、費用を集めて、仲間5人でブラジルへ向かいました。

世界のNGOが集まる場所で、2週間訴え続けたセヴァンたち。

すると、なんと、サミットでスピーチできるチャンスがめぐってきました!

彼女らの活動を見たユニセフ代表が
「子どもたちの声も聞こう」と言ってくれたのでした。

それは、リオ滞在最終日のこと。

セヴァンは、胸躍らせ、会場へ向かいながら大急ぎで原稿を書きなぐり、休む間もなく壇上へと上がったのでした…。

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