2010年9月1日水曜日

8/30甲州市、子グマを放獣・県内の補殺状況

先週はショッキングな事がいくつかあり、自分の力不足を感じ落ち込み、クマに関する報告が出来ないでいました。

わたしは、山梨県支部長を引き受けた時、クマに鉄砲を向ける人の前に立ちはだかり、クマを一頭たりとも殺さないと心に誓いました。
それなのに、全然立ちはだかってあげられず、知らなかったとは言え、既に何頭も殺されていた事が先週判明しました。

有害駆除の補殺状況は、全ての市町村は分かっていないので、確認出来ているところだけですが、
笛吹市1頭、甲州市3頭です。先日の北杜市を入れると、5頭です。

不甲斐ないです。
もっともっと、強くなりたい。
クマを守り、子ども達の未来を守れるよう強くなりたいです。
でも、28日「クマと森のお話会」で、参加した子ども達の顔を見、またアンケートを読み
「クマを守りたい。クマのお陰で水が飲めるのが分かった。」
等と、純粋な子どもの心に触れ、現状の山梨県の体制では、わたしの知らない水面下で殺されていくクマが今後予想され、全部は救えないかも知れないけれど、目の前にいる助けを求めているクマを、1頭でも救っていこうと、改めて心に誓いました。

・補殺の簡単な状況は
○笛吹市は「うちは猟友会の意向が強く、クマは捕獲放獣です。」という所ですが、イノシシの罠に誤捕獲され、手がつけられない状況で、麻酔と放獣が出来る専門家と連絡が付かなかったとの理由で、7/24に補殺処されました。

○甲州市は、今年になって3頭です。やはりいずれも、イノシシの罠に誤捕獲され、麻酔と放獣が出来る専門家とが取れなかったと言う理由で、補殺されました。
昨年は8頭と、市町村の中で最も捕殺されているところです。ぶどう、桃が盛んで、山が側にある地域ですので、他の地域よりも、クマの出没が多く、被害に遭われている農家が多く大変お気の毒です。

しかしそしてそんな絶望的な中、一昨日30日、今年2月頃生まれた子グマが補殺されず、救う事が出来ました。

簡単な経緯は・・・
・8/22(日) 「甲州市でも今、クマを捕獲するための罠を3つ設置しているそうです。」との情報提供。

・8/23(月) 甲州市役所に電話を入れ、先ずはクマの出没情況をお聴きしたところ、既に8/16にイノシシの罠に誤捕獲で補殺処分。更に、以前にも2件の補殺をしていることが判明。
詳細を伺い、現場を案内して頂きたいので、25日に市役所を訪問約束をする。

・8/25(水) 甲州市役所に、わたしと副支部長を含めた4名で訪問。
産業振興課果樹農林担当の方達と面談。
わたし達は今回初めて訪問する所でしたし、今後、補殺されないようにするための道を話し合う。
イノシシの檻が14箇所に設置されているので、今後もクマが誤捕獲されるのが予想されます。

・8/29(日) 子グマがイノシシの罠に捕獲されたとの情報。

・8/30(月)
[8:30] 甲州市産業振興課を訪問し、子クマの対応を確認。
 →9:30にJA玉宮に関係者が集合し検討するとのこと。同席を促される。

 [9:30] JA玉宮に集合。
 子グマの対応を話し合う。放獣に関して、みなさん色んなお立場がありますので、賛否両論色んな意見が出ましたが、最終的には

甲州市の産業振興課が
「環境研の吉田さんの話では、子グマの場合は、早急にその場で放獣して母グマの元に帰すのが賢明。
 子グマに何かあったり、他の場所に放獣すると、母グマは、凶暴になる危険があり、辺りを徘徊し人身事故 に繋がる危険性が考えられるそうです。県の指導も捕獲補獣ですので、今回はそのように対応したい。」

しかし、猟友会さんが檻の蓋を開けるのが危険だから近付きたくないとのことで、一同困惑。

そこで、笛吹市の猟友会さんで熊森の会員でもあるYさんに、桃の出荷で大忙しの所をお願いしてきて頂く事になりました。

[10:00] JA玉宮から車で5分くらいの、上竹森地区の捕獲現場へ

母グマが近くにいる危険性があるので、檻の側に車が1台通り抜ける道があるが、側に行かず、1枚畑を隔てた道の方から、檻を眺める。
捕獲から1日以上立っているので、熱射病など心配していたが、午前中は木陰になっていました。

予想以上に元気な声で「クゥ~クゥ~」または「カァ~カァ~」と人間の子どもの泣き声のような声で鳴いていました。
人間の気配を感じ、母グマを読んでいたのでしょうか。

また、環境研の吉田さんにも、市の方でお願いをしたところ
「まだ身体が小さいので、麻酔をすると死ぬ危険があるのでしませんが、様子を見に行きましょう。」と、駆けつけてくれることになりました。

時間を改め、12時30分に再度、現場に集合することになり、11:00過ぎ頃に一時解散になりました。

解散の際に、ソーッと、何処かに潜んでいる母グマを刺激しないように、子グマの檻の側を車で通りましたが、60センチくらいのヌイグルミのような可愛い子グマが、無邪気に遊んでいまし。

[12:30] 現地に集合。環境研の吉田さん到着

[13:00] Yさんご夫妻、JA一宮に桃の出荷を澄ませ、現地に到着

・吉田さんと、Yさんで話をし、Yさんが檻の蓋を開け、吉田さんが補助することに。
・軽トラックの荷台にお二人が乗り、市の方が運転し、現場へ向かう。
・イノシシの檻の脇に軽トラを付け、檻の上にお二人が乗り移り、いとも簡単に蓋を開け作業完了。10分も掛らなかったのではないでしょうか。5分くらいだったでしょうか。
暫くして、子グマ檻から出て行く。
Yさんご夫妻は「じゃあね!」と帰られて行きました。

その後解散になりましたが、JA玉宮で地元の猟友会さん達がいらっしゃるのでご挨拶して帰ろうとした所、今後どうするんだということで、暫し面談しました。

其々の立場があり、守るべきモノがあります。
冷静に考えてみると、其々が正義で、悪い人は誰もいないし、当然クマだって悪くないのです。

わたし達はクマの保護と同時に、地元のみなさんが、クマの被害を食い止める解決策を提案し、一緒に考え、一緒に行動していくことが、最も重要だと感じました。

今、クマと農家方の共生の件で、本部に全国の事例を知らべて頂いています。(りんご園等)

また先日「海の魚が居なくなったのは、森が原因だと木を植える漁師さん」が、NHKで放送されたそうです。
「クマ止め林を植える農家」も以前TVで放送されたようです。
こちらの件も調べて頂いていますが、放送内容や、録画されている方はいらっしゃいませんでしょうか。
この他にも、農家の方達と自然との共生事例をご存知な方は教えて下さい。

帰りに、もう一度クマの檻を見に行ったところ、地元の方が、小さいお子さんを連れ車で乗り付けたのに鉢合わせしました。
「まだ、この辺にはクマを放獣したばかりだから危険ですから帰って下さい。」
と、注意を促しましたが、
「大丈夫、大丈夫・・・」
と聴き入れず、車から降りようとしたり、熟したスモモを檻の中に投げ入れたりしましたので、車から降りるのを制止し、スモモを拾い集め回収しました。
終いには「子どもがクマを見たいから来た」等と、呆れた事を言ってました。
果物で、またクマを誘因し、自身事故に繋がった時、クマが悪者になってしまうでしょう。

どうして、こんなに悲しいことをするのでしょうか。

帰りに、もう一度甲州市役所に寄り、この状況を報告したところ、
「市では防災放送をして再三注意を促しているので、何かあったら自己責任です。」
と言われました。
「クマ出没注意」の看板くらい立てて下さいとお願いしました。

クマを補獣しにきてくれた、笛吹市のYさんにお礼の電話を入れたところ、
「クマが救えて良かったね。みんなが集まったから救えたよ。周りを見れば人工林ばかりで、クマは被害者で、本当に可哀そうだね。」と、仰いました。

また、放獣の時に来ていた甲州市議の方に「クマともりとひと」お渡したところ、読んでくたそうです。

長い一日でしたが、兎に角、子グマが救えて良かったです!
みなさんありがとうございました(^(エ)^)/

昨日、放獣に駆けつけてくれた3人に感想を寄せて頂きました。

【副支部長】
昨日、甲州市で小熊の放獣が行われました。

甲州市では過去2年間放獣が行われていない事から、先週の25日に市役所を訪問し、出来るだけ放獣して頂くようお願いしたばかりでした。
その直後の捕獲で、甲州市の担当の方も放獣の方向ですぐに対応して頂き、山梨県の放獣の専門家と熊森山梨支部が大変お世話になっている狩人(けものを守る人と書くそうです)のYさんが駆けつけて放獣して下さいました。

先月は、山梨県の放獣の専門家である、環境科学研究所の吉田さんを訪ねたその夕方にクマが現れ、放獣する事となり、今回も市役所訪問の直後の捕獲で、何か山梨県のツキノワグマに導かれているような気さえします。

誠意を尽くし、心からお願いすることで、貴重な野生成物の命が救えるならばいくらでもお願いしに行きましょう!皆さんの町村でも駆除が行われているようでしたら一緒に行きましょう! 少し動くだけで、道はひらけますから・・・。  

【Sさん】
確かに今日の小熊は檻から出されたけれどいつまたと思うとつい暗澹とした気持ちになります。あの小熊は命を全うして大往生してくれるのだろうか?
人間の命ばかりが大事にされて(でも虐待で抵抗できない子供は殺され)物言えぬ動物達が殺され続ける世の中は許せないです。いつでも弱いものが泣くのは私が泣きたいぐらい辛いです。

【地元のYさん】
ほんとうに、あんなにかわいい子グマちゃんを助けられて良かったです。
無邪気にころがって遊んでいたのが眼に焼き付いています。
今夜はおかあさんとくっついて眠ることができますね。
なにかご飯を食べることができているといいですね。

子グマを助けられたことはもちろん良かったですが
いろいろな方とお話をすることができて良かったです。
いやな意見であっても、無視されたり、門前払いでなく
表面だけあわせるふりだけでなく、聞かせてもらえて良かったと思います。

知り合いの市議の方にくまともりとひとを持っていきます。

今までまごまごしていましたが、
具体的に何をしよう、と自分の中で少しわかりましたし
もう引き下がれない状態にもなったわけです。(笑)
前から母に迷惑にならないかと思っていたのですが
そんなことは全くなさそうなので安心しました。

今日はたくさん話を聞いたので話すのを忘れてしまいましたが、
ある方は「結婚を機にやめましたけど。殺生をするとのちのち良くないと言われてね。」
と言っていました。

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