2010年9月6日月曜日

森山まり子著『愛蔵版 クマともりとひと』 生徒が大人を動かした奇跡のドキュメント 

新しいエピソードと2010年までの最新情報がたくさん盛り込まれています。
熊森運動の歴史がわかる保存版です。

 兵庫県の中学校で、理科の女性教師は生徒が自主学習で提出した新聞記事と作文に衝撃を受けた。日本の山々が戦後の植林政策で針葉樹の人工林だらけとなり、えさを失ったクマが絶滅の危機にあることを記事は伝えていた。えさを求めて人里に現れたクマは「有害獣」としてどんどん殺されている。

 授業でこの事実を伝えると、生徒たちが寄ってきた。「先生、クマ絶滅やって、かわいそうやんか。助けてやろうよ」。戸惑う教師は子どもらの熱意に背中を押されるようにして立ち上がる。生徒たちは自ら署名に走り回り、県知事や環境庁に直訴した。

 目標を手に入れた生徒たちは猛勉強を始め、やがていじめや万引はなくなり、不登校の生徒は学校に通い出した。生徒らの必死の訴えに今度は県や国が動きだした-。

 今から18年前、実際にあった話である。その後、女性教師が教え子らと立ち上げた「日本熊森協会」は現在、会員2万5千人の全国組織となって、奥山保全トラストなどの運動を展開している。教え子の一部はスタッフとして今も走り回っている。

 この奇跡のようなドキュメントが伝えるものは、命の尊さや自然保護の大切さだけではない。子どもは何に心を動かし、どんな時に自ら行動し、どれだけの力を発揮するのか。今ある教育の行き詰まりを打開するヒントがここにある。

 発行40万部を超す同じタイトルの小冊子に新しいエピソードと情報を盛り込んだ愛蔵版。未来に希望を見いだせる一冊だ。


大手書店でお買い求めください。
著者:森山まり子 157ページ。
合同出版 1200円+税

http://www.47news.jp/EN/201009/EN2010090601000323.html

0 件のコメント:

コメントを投稿