10/29朝日新聞山梨県版掲載
■笛吹の狩人、米山光男さんに聞く
笛吹市御坂町で桃やプラムを栽培する農家、米山光男さん(63)は狩猟免許を取得して43年になる地元猟友会の重鎮。ツキノワグマも7~8頭仕留めた狩人だが、最近頻発する「出没グマの射殺」を批判的にみる。「クマは減っている」と語り、「いま見直すべきなのは、クマの食べ物をなくしてしまった林業政策」と訴えている。(永持裕紀)
秋から冬に同町下黒駒で米山さん夫婦が営む料理店に、米山さんが撃ったクマの剥製(はく・せい)が飾られている。仕留めた時体重約130キロだった大物とは20年前の2月、御坂山地の山奥で出会った。最初の1発が当たったのに走って近づいてきた。2発目も命中したが、すぐ足元に。3発目でクマは息絶えた。「勝負をかけた命のやりとり」だった。
20歳の時免許を取ったのは「勝負」が面白いと思ったからだ。けれど、この大物を仕留めたころから、狩りが面白くなくなってきた。山や森、動物の様子が「おかしい」と思えてきた。
シカが増えた。クマが減っていることと関連があると米山さんはみた。それはクマの好物のドングリがなくなったからだ。御坂の山も椎(しい)やブナなどの天然林が伐採され、針葉樹の人工林に変わった。最近はクマを見かけないと米山さんは話す。「クマもかわいそうだ」
米山さんは昨年、氏子を務める檜峰(ひ・みね)神社(同町上黒駒)の100ヘクタール近い自然林が県の指導で伐採されたのを機に、知事と環境相あてに「林業政策の見直し」を訴える手紙を書いた。「野生動物や貴重な植物を絶やし、自然界の生態を狂わして、私たち人類まで絶やしてしまうつもりですか」と記した。
「クマの出没」は、自然が何か大切なことを人間に伝えようとしている警告と米山さんは考える。「出没は今年ドングリが不作だからじゃない、日本中どこもドングリがなくなっているからだ」。クマ絶滅は自然のバランスを崩してしまうと、猟友会員のまま、クマと森の保護を訴える日本熊森協会に入会した。
人間や作物に危害を加える出没グマはすぐ殺せという声もある。森の変容を見続けてきた米山さんは話す。「元々の原因が何なのか、じっくり見直すべきチャンスです
ドングリ捲き、ご苦労様です。
返信削除しかし、ドングリ捲きは10年後のクマのエサを奪い取ることになっているって気づいてますか?
ブナやナラ類に豊凶があるのは、それでネズミやリスの個体数を調整するからなのです。今年の凶作で来年のネズミの個体数は激減します。そこで来年、大豊作になればネズミが少ないから多くの種が食べられずに翌年発芽することが出来ます。
しかし、今年みなさんがドングリを山に撒いているおかげで、ネズミたちは死なずに済みます。その結果、来年のブナやナラは沢山種を付けても、ほとんどがネズミに食べられてしまいます。ってことは、次の世代の木が芽生えないですよね。
クマはだいたい10年で一世代。ドングリを撒くことで、次の世代のクマたちのエサを奪ってしまっているんですね。
トレキングが趣味で桧峰神社付近はよく散策させていただいています。
返信削除地元の人にお聞きすると昔は薪炭林と草刈り場だったとのことですが、里山とはいえよく立派な森林を育てたものだと、氏子の皆さんの御労苦に敬意を表します。
100ヘクタールの伐採は間伐が主体だと思いますが、まだ暗く陽光のささない林も見えますので、氏子の皆さんは勤労奉仕で大変ですがもっと伐採(間伐)を進めてほしいです。